【書評】マネタイズ戦略

マネタイズ戦略――顧客価値提案にイノベーションを起こす新しい発想

概要：ビジネスモデルやマネタイズとは？

• ビジネスモデルとは顧客を満足させながら企業が利益を得る仕組み
• 顧客を満足させるだけでも、企業が一方的に利益を得るだけでもなく両方を可能にするための考え方を示すもの
• マネタイズとは「誰から儲けて誰からは儲けないか」、「どこで儲けてどこでは儲けないか」、儲けるポイント/儲けないポイントを決めること
• マネタイズに成功すればその分のお金を商品開発にも投資ができる。
• つまり、マネタイズは将来の顧客価値提案のための活動でもあるのだ。
• この本ではマネタイズの事例が解説されている

ビジネスモデル　＝　顧客価値提供　＋　マネタイズ

この本で取り上げられる事例一覧

・ 先 進 的 な 電 気 自 動 車 を 生 み 出 す テ ス ラ

・ パ ン 屋 で あ り な が ら コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 に 成 功 し た ピ ー タ ー パ ン

・ 辛 口 の 批 評 雑 誌 と し て 人 気 の L D K/晋遊舎

・ １ 億 人 以 上 の ユ ー ザ ー を 抱 え る 動 画 配 信 の ネ ッ ト フ リ ッ ク ス （ N e t f l i x ）

・ 趣 味 の 幅 を 広 げ 続 け る デ ア ゴ ス テ ィ ー ニ

・ デ ザ イ ン の ソ リ ュ ー シ ョ ン を 提 供 す る ア ド ビ シ ス テ ム ズ

・ マ ン ガ の 実 写 化 映 画 で 成 功 す る マ ー ベ ル

１．顧客体験に寄り添った電気自動車テスラ

•  価 値 提 案 の 先 進 性 だ け で な く 、 そ れ を 顧 客 の 自 分 事 に す る マ ネ タ イ ズ が 融 合 す る こ と で 成 立 し て い る
• も の づ く り の ビ ジ ネ ス に お い て 、 ユ ー ザ ー の ニ ー ズ に 寄 り 添 っ た 「 革 新 的 な 移 動 体 験 を 重 視 し た 」 価 値 提 案 を し て い る 
• 移 動 体 験 を 実 現 す る た め に 、 そ れ に 最 適 な ア ッ プ グ レ ー ド 課 金 と い う マ ネ タ イ ズ を 選 択 し た 

２．コミュニティを提供したパン屋ピーターパン

• パ ン 屋 で は な く 、 コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 企 業 で あ る と 自 社 を と ら え て い る
• 価 値 提 案 は 広 く と り な が ら も 、 設けるポイント/儲 け な い ポ イ ン ト を 明 確 に し て い る
• コーヒー や 憩 い の 施 設 な ど の 儲 け な い ポ イ ン ト で も 、 一 切 手 を 抜 か な い 。 そ れ は 価 値 提 案 の 実 現 に 不 可 欠 だ か らである。
• 儲 け な い ポ イ ン ト も 顧 客 価 値 提 案 と 深 く 関 係 し て い る 
• す べ て の 顧 客 接 点 で 儲 け よ う と し て い な い か 、 今 一 度 、 自 身 の ビ ジ ネ ス を 見 直 し て み よ う

３．本音/本当に役立つ情報を載せるためにビジネスモデルを変えた晋遊舎

• 業界のマネタイズのあり方が業界慣行を作り出している。
• 雑誌においては、広告収入というマネタイズによって価値提案が同質化してしまう。
• そのために、「はっきりものをいう」価値提案が実現できなかった。
• ものづくりで敬遠され始めた「売り切り」も、業界を変えれば革新的なマネタイズになる。
• 別の業界で当たり前のマネタイズ変えてみることは有効

４．レンタルビジネスからの変革を遂げたネットフリックス

• 既存のレンタルビデオのマネタイズに業を煮やして、新たなビジネスを始めた
• 物流を伴うネットレンタルから、コストの掛からないデジタル配信を展開し、全世界で１億ユーザーまで拡大
• テレビ局と戦うことになったが、マネタイズが違うため、コンテンツをユーザーに最適化して尖らせた

５．デアゴスティーニ 

• 膨大な情報や作業を分割し無理なく購入できるようにした。
• また、社員にアイデアを発案させている。
• あなたの扱う製品で、顧客の自分事にできるのはないか
• コモディティに価値をつける「ストーリー」をつくれないか
• 単にそのビジネスに定期課金のマネタイズを付け加えようとしていないか
• 定期課金の導入に際して、それを支える組織体制があるか

６．アドビシステムズ

• 収益が最高潮であるときほど、次のマネタイズ法を検討する必要がある。
• すでに持っている資産を利用して、さらに別の顧客にアプローチをするには、どうしたらよいのか、アドビはこの点と紳士に向き合った
• 高額のプロダクトを価値を落とすことなく「自分ごと」にできないかを考えた
• マネタイズを変更するときには、評価指標を最適なもに帰る必要がある
• 自社自らに破壊的なイノベーションを仕掛けた

７．マーベル

• マネタイズ先行でビジネスを組み直し、コミックのキャラクターのタレント・エージェントになった
• そこから、キャラクターを育てるという価値提案の重要性に気づき、再び創造性に力を入れ始めた
• 一見、事業会社とは程遠いように思われる別領域のエンタテイメント起業であるが、その価値創造とマネタイズの方法論こそ、事業会社が取り入れるべき