【書評】システム学の基礎
概要
- システムとは、構成要素の集合とそれらの関係性からなる総体をある観点/目的から「認識」された知的構造物である
- システム思考とは、対象をシステムとして捉え、対象を認識しその対象における問題の解決を図る思考のことであ
- (逆に言えば、目的により別の異なる認識のシステムが構成される)
- システムをモデルとして記述することで、全体性を踏まえ問題に対処できる
システム思考の基本要素
- 全体性 :システム全体によって創発する性質
- 自律分散:システムの構成要素が分散的で自律的な行動を振る舞う性質
- 相互作用:構成要素同士は相互に作用する
システム定義の手順
- 対象を定める
- 認識関心/目的を定める
- 認識関心に従って要素を決める
- 要素間の関係を定める
- それらをモデルによって表現/明示化する
システムモデルの役割
- 構造の明示化
- 対象の操作的扱える
- 調整の場
- 前提条件を陽にする
- これらを前提に問題解決を行える
- 他の対象への応用
システム思考における用語
システムモデルの例
- 入出力モデル :システムを入力に対して出力する総体として表現する
- 状態遷移モデル:システムを状態を持った入出力モデルとして表現する
- 線形モデル :システムを数理モデル表現する
- 意思決定モデル:入出力をフィードバックを元に制御するモデルとして表現する
自然科学とシステムアプローチの関係性
- 自然科学のアプローチ:要素還元主義、反証可能性、再現性を基本とした科学的アプローチ
- システムアプローチ:要素還元主義では対処できない複雑性に対する補完的アプローチ
ハードシステムアプローチ/ソフトシステムアプローチ
- ハードシステムアプローチ:観点/目的が何か明確でありシステムを一元的な認識により捉えられる問題に対する体系的方法論(例:システム工学)
- ソフトシステムアプローチ:観点/目的が不明確でありシステムを多元的な認識で捉える必要がある問題に対する方法論(例:CATWOE分析)
CATWOE分析
ステークホルダーを踏まえた上で問題状況をシステムとして捉えるための手法
- C(Customer):Tの犠牲者または受益者
- A(Actors):Tを行うであろう人々
- T(Transformation process):変換プロセス
- W(Weltanschauung):世界観
- O(Owner):システム所有者
シングルループ学習/ダブルループ学習
- シングルループ学習:すでに備えている考え方や行動の枠組みにしたがって問題解決を図っていくこと
- ダブルループ学習:既存のシステム:目的を捨てて新しい考え方や行動の枠組みを取り込むこと
参考
最終更新日: 2019/12/31
初回更新日:2019/12/31